宇目の唄げんか

宇目の唄げんかはあちこちで少しばかり違うようですが木浦が発祥の地です
今流れているメロディーは昭和28年木浦で採譜されたという楽譜をパノラマンがMIDIにしてみました

唄げんかという語には 唄で争うという意味と 唄を争うという二つの意味があります
文句の種が切れた方が負けです
唄げんかには 唄比べ的な要素が強いようです
子守の群れが二組に別れて 夕暮れの橋のたもとや 村はずれで唄げんかが始まります
この二群は あるときは別々の部落の子守群であったり あるときは土地者の子守と
他国者の子守であったりしたのでしょう

宇 目 の 唄 げ ん か (歌詞は幾らでもありますのでいくつか紹介します)

哀しく寂しげに唄ってみてください 黒文字に対して赤文字で唄って返します

一、あん子 面(つら)みよ 目は猿まなこ ヨイヨイ
   口はわに口えんま顔
   アヨーイヨーイヨー

返  おまえ 面(つら)みよ ぼたもち顔じゃ ヨイヨイ
    きな粉つけたら尚良かろ
    アヨーイヨーヨー


二、いらん世話やく他人の外道 ヨイヨイ
   やいちよければ親がやく
   アヨーイヨーヨー

返  いらん世話でも時々ゃやかにゃ ヨイヨイ
    親のやけない 世話もある
    アヨーイヨーヨー


三、わしがこうしち旅から来ちょりゃ ヨイヨイ
   旅の者じゃとにくまるる
   アヨーイヨーヨー

返 憎みゃしません大事にします ヨイヨイ
    伽じゃ伽じゃと遊びます
    アヨーイヨーヨー


四、寝んね寝んねと 寝る子は可愛い ヨイヨイ
   起きち泣くこの 面(つら)憎さ
   アヨーイヨーイヨー

返 起きち泣くこは 田んぼにけこめ ヨイヨイ
   あがるそばから またけこめ
   アヨーイヨーイヨー


五、旅んもんじゃと 可愛がっちおくれ ヨイヨイ
   可愛がるりゃ 親と見る
   アヨーイヨーイヨー

返 可愛がられて また憎まるりゃ ヨイヨイ
   可愛がられた 甲斐が無い
   アヨーイヨーイヨー


六、おまいどっから来たお色が黒い ヨイヨイ
   白い黒いは生まれつき
   アヨーイヨーイヨー

返 おまいさんのようにごきりょが良けりゃ ヨイヨイ
   五尺袖にゃ文ゃ絶えめえ
   アヨーイヨーイヨー


七、子守りゃ辛いもんじゃ子にゃいがまれち ヨイヨイ
   ひとにゃ楽なように思われち
   アヨーイヨーイヨー

返 奉公すりゃこそわれんような奴う ヨイヨイ
   お主様じゃとたてまつる
   アヨーイヨーイヨー


八、わたしゃ唄いとうち唄うのじゃないよ ヨイヨイ
   余りに辛さに泣くかわり
   アヨーイヨーイヨー

返 余りの辛さに出ち山見れば ヨイヨイ
   霧のかからん山はねえ
   アヨーイヨーイヨー


九、臼がすりとねぇきうどん屋を出たら ヨイヨイ
   生れ約束又そば屋
   アヨーイヨーイヨー

返 あん子どこん子かわし見ち笑う ヨイヨイ
   わしも見ちゃろう笑ろちゃろう
   アヨーイヨーイヨー


十、はだけられても世間は広い ヨイヨイ
   広い世間に出て遊ぶ
   アヨーイヨーイヨー

返 はだきゃしません大事にします ヨイヨイ
   とぎじゃとぎじゃと遊びます
   アヨーイヨーイヨー


十一、違うた間違ちごうた今ン唄違ごた ヨイヨイ
    竹にうぐいす木が違ごた
    アヨーイヨーイヨー

返 唄の上手な一人唄よりも ヨイヨイ
   下手の連れ筋おもしろい
   アヨーイヨーイヨー


十二、奥さんも旦那さんもよう聞きなされ ヨイヨイ
    守にひどすりゃ子にあたる
    アヨーイヨーイヨー

返 あの子おぼえちょれ明後日の晩に ヨイヨイ
   うらみ殺さな取り殺す
   アヨーイヨーイヨー


十三、わしが死んだちゅ誰が泣いちくりゅか ヨイヨイ
    千里奥山 蝉がなく
    アヨーイヨーイヨー

返 蝉じゃござらん妹でござる ヨイヨイ
   妹かわいや 蝉の声
   アヨーイヨーイヨー

十四、わたしゃ唄いとうち唄うのじゃないが ヨイヨイ
    あまりつらさに泣く代わり
    アヨーイヨーイヨー


返 あまりつらさに 出ち山見れば ヨイヨイ
   霧のかからん山はない
   アヨーイヨーイヨー

十五、山が高うち在所が見えん ヨイヨイ
    在所可愛や 山にくや
    アヨーイヨーイヨー


返 ままになるなら 在所を山に ヨイヨイ
   山を在所に しち見たい
   アヨーイヨーイヨー


十六、あん子ぁどこん子か わし見ち笑う ヨイヨイ
    わしも見ちゃろ 笑うちゃろ
    アヨーイヨーイヨー


返 今んわたしは 納戸のならし ヨイヨイ
   悪いことなら かけらるる
   アヨーイヨーイヨー


十七、子守するちゅう見下げち見るな ヨイヨイ
    奉公は我が身の 末の為
    アヨーイヨーイヨー


返 子守するより 非人がましじゃ ヨイヨイ
   今朝もわた汁 二度食べた
   アヨーイヨーイヨー


十八、山が高うち在所が見えん ヨイヨイ
    在所可愛や 山にくや
    アヨーイヨーイヨー


返 臼がすりとうねえき うどん屋を出たら ヨイヨイ
   生まれ約束 また蕎麦屋
   アヨーイヨーイヨー


十九、面(つら)ん憎い奴 まな板にあげち ヨイヨイ
    青菜きざむよに ざくざくと
    アヨーイヨーイヨー


返 盆が来たなら 踊ろやせろや ヨイヨイ
   憎いあん子はせり出そや
   アヨーイヨーイヨー


二十、うんどうかまわん どげえ言われても ヨイヨイ
    山ん木茅ん木 実ではない
    アヨーイヨーイヨー


返 わしがこまい時ゃ ちりめんだすき ヨイヨイ
   今は縄帯 なわだすき
   アヨーイヨーイヨー


二一、あんまあ木浦ん 水よし村の ヨイヨイ
    生い立つ若い衆んほどのよさ
    アヨーイヨーイヨー


返 ほどはよけれど 人気が悪い ヨイヨイ
   打つのたたくの 酒かえの
   アヨーイヨーイヨー


二二、唄のご名人 来ちょるこた知らんじ ヨイヨイ
    一つ唄うたら 返された
    アヨーイヨーイヨー


返 この子かるうのも 今日限り ヨイヨイ
   明日はからすの なきわかれ
   アヨーイヨーイヨー


ホームへ戻る