夷村は、夷耶馬と呼ばれる中山仙境を中にして東夷、西夷に分かれています。
その東夷、西夷それぞれに良く似た割石があるのです。
東の方は、霊仙寺の西上に、西の方は横岳の上、割石にあります。
石の大きさはどちらも直径が10メートルぐらいもあります。
そしてどちらも30センチくらいの大きさの割れ目が真ん中にあります。
それでこの二つの割石は、兄弟割石と呼ばれていました。
他にもそう呼ばれるわけがあったのです。
この割石のそばで猟をしていた人が突然いなくなったり、すみかにしようと入った
けものが見えなくなったりするからです。
割石には似たような洞窟が続いており人もけものも一度足を踏み入れたら
出口がわからなくなるのです。
悲しくも、割れ目で亡くなった人を弔うお墓が、今でも割石のそばにあるということです。